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検査・診断・治療食べ物がしみる-口内炎-

JCHO九州病院
内科 医長
小川 亮介(おがわ りょうすけ)先生

口内炎は、がんの治療中に起きる代表的な口の中のトラブルのひとつです。時間が経てば徐々に改善しますが、症状が重い場合はがんの治療だけではなく、飲食や会話などの日常生活にも影響がでます。口内炎に対しては口の中のセルフケアが重要です。口の中は自分でも簡単に観察することができるので、予防を心がけ、悪化しないように工夫しましょう。

こんな症状があらわれます

  • 食べたり飲んだりするとしみる
  • 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
  • 口の中が赤くなる、腫れる
  • 口の中に出血しているところがある
  • 口の中が痛い
  • 口の中が全体的にひりひりする、焼けたような感じがする
  • 口が動かしにくい、会話しにくい

※「味が分かりにくい」はこちら(味覚障害)を、「口の中が乾いた感じがする、ざらざらする」はこちら(口腔乾燥症)をご覧ください。

軽い場合は口の中に違和感がある程度ですが、重くなると痛みが強くて食べ物を飲み込めなくなることもあります。抗がん剤の場合は治療後数日から10日頃になりやすく、2、3週間で徐々に改善します。また、口に近い部分で放射線治療を行った場合は治療開始後1、2週間で症状が出るようになり、治療終了後は3、4週間で少しずつ回復するといわれています(ただし、リンパ腫の種類や治療内容によって異なります)。口は、飲食や会話などの日常の動作を支える重要な器官なので、口内炎になると毎日の生活に支障が出てしまいます。治療を続けるためにも、このような症状を自覚した場合は、遠慮せずに医師や看護師に相談しましょう。

口内炎の原因

抗がん剤は血液によって全身に運ばれるため、口の中の粘膜や歯茎にも影響を及ぼします。また、放射線治療でもダメージを受けることがあります。粘膜や歯茎の表面に傷ができると、そこから口腔内の常在細菌や真菌が侵入し、腫れたり、痛みが出たりするのです。

口内炎のケアのポイント

ここでは、口内炎の予防、症状の軽減のために、日常生活でできることや注意するポイントについてご紹介します。

ポイント① 口の中をチェックする

抗がん剤の治療が始まったら、鏡を使って毎日口の中をチェックしましょう。口内炎ができやすい唇の裏側、ほおの内側、舌の側面などを、重点的に見てください。口内炎ができていたら、大きさ、色、痛みの状態などを医師や看護師に伝えるようにしましょう。

がん治療を専門とするメディカルスタッフからのアドバイス

口内炎は、最初は口の中の一部が腫れたり、飲み込むときに軽い痛みがある程度ですが、時間が経つと口の中が全体的にひりひりする、飲み込みにくい、会話しくにい、などの症状がでます。症状に応じてお薬も含め、いろいろな対処法があるので、口内炎の症状を自覚したら、早めに医師や看護師にご相談ください。

ポイント② 清潔に保つ

うがいや歯みがきで口腔内を衛生的に保つことで、口内炎を予防したり、症状が重くなるのを防ぐことができます。

・うがいをする
うがいはとても手軽に行える口腔内の洗浄手段です。口内炎の予防や、痛みなどの症状を軽減させるためにも、できるだけ行うようにしましょう。

  • うがいの回数は、2、3時間に一度が目安です。基本的に水道水で問題ありませんが、刺激がある場合は生理食塩水を使用するのもいいでしょう。市販されている洗口液のなかには殺菌効果が得られるものもありますが、アルコールを含まず、刺激性の低いものを選びましょう。レモン水やレモン風味の炭酸水は唾液の分泌を促すため、特に食前におすすめです。
  • のどを洗うようなうがいではなく、口の中だけを洗浄するようなうがいにしましょう。

・歯みがき
歯みがきは、口内炎になった後でも口腔内の粘膜を傷つけないように注意しながら行うようにしましょう。

  • ブラシ部分が小さく、やわらかめの歯ブラシをおすすめします。ただし、かたい歯ブラシよりも歯垢しこうをとる効果が弱いので、時間をかけて丁寧にみがくことを意識しましょう。
  • 歯みがきは、力を入れず、歯と歯肉しにくの境目に45°の角度で毛先を当てます。そして、歯ブラシの毛先が歯と歯肉の境目から離れないようにしながら、小刻みに前後に動かします。
    歯や歯肉の状態に合わせて、フロスや歯間しかんブラシ、スポンジブラシなどを利用してみるのもよいでしょう。舌には専用の舌ブラシが便利です。

  • 歯みがき剤は刺激の少ないものを選び、しみる場合は水だけでみがいてもよいでしょう。

・入れ歯(義歯)の洗浄

口内炎になるまでは入れ歯を使い、口内炎になった後は使用を控えるようにしましょう。
入れ歯はこまめに洗浄し、常に清潔にしておきましょう。
保管容器の洗浄も忘れずに行いましょう。入れ歯の裏側(接着面)や金属部分は汚れがたまりやすいので、専用のブラシ(義歯ブラシ)などを使ってこすり洗いをします。洗浄剤を使った場合は、きちんと水で洗い流し、十分に乾燥させます。

ポイント③ 保湿する

保湿をすることで不足している唾液の働きを補い、症状を和らげることができます。

・保湿剤を使用する

口腔ケア用の保湿剤は、スプレータイプ、ジェルタイプ、洗口タイプなどがあり、乾燥の程度や使用する場面に応じて使い分けることができます。
一般の薬局でも市販されていますが、あまり刺激の強いものは避けるようにしましょう。

<保湿剤の特徴と形状>

スプレータイプ 直接吹きかけることができるため、衛生的で簡便です。
即効性のある清涼感が得られますが、保湿効果は長くありません。
ジェルタイプ 口腔粘膜をおおうような効果があり、長い保湿維持が期待できます。
ただし、粘つきを感じるような症状にはあまり向いていません。
洗口タイプ 保湿と同時に口腔内を洗浄する効果が得られます。
アルコールを含まないもの、刺激性の低いものを選びましょう。

ポイント④ 定期的な歯科検診

口腔内には多くの細菌がいます。リンパ腫の治療によって免疫力の低下が起こると、細菌を原因とする合併症があらわれることがあります。そのため、リンパ腫治療の開始前に歯科を受診し、むし歯などに対する処置を受けておきましょう。また、リンパ腫の治療中も定期的に歯科検診を受けるなどして、口腔内の衛生環境を良好に保つようにしましょう。

ポイント⑤ 食べ方・食べ物を工夫する

痛みなどの症状が重い場合には刺激の少ない物を用意し、咀嚼ができない場合には食べやすい形で用意するなど、食べ方を工夫してみましょう。

刺激の強い料理は避ける なるべく控えるもの
  • 熱いもの(36~37℃くらいの人肌の温度に冷ます)
  • 冷たいもの、固いもの
  • 塩分や酸味の強いもの、香辛料
調理法を工夫する
  • やわらかく煮こむ
  • きざむ、ミキサーにかける
  • とろみをつける
  • 裏ごしする
  • だしをきかせる
  • 塩分を少なめにする
感染をさける
  • 生ものは避ける
食べ方を工夫する
  • ゼリータイプ、流動タイプの栄養食を利用する
  • ストローを使って流し込む

なお、痛みがある場合、うがいで症状が軽くなることもありますが、うがいだけで痛みがとれるわけではありません。痛みの程度によって、うがいの他に痛み止めを使う場合などいろいろな対応があるので、詳しくは医師や看護師にご相談ください。

代表的な感染症 口腔カンジダ症

口腔内に潜むカンジダという真菌(カビ)の一種が、免疫力の低下や唾液の減少などによって過剰に増殖することで発症する病気です。口腔内がピリピリする、ザラザラするといった違和感が症状としてあらわれますが、抗真菌薬の服用と口腔ケアで治療することができます。このような症状がみられた場合は、早めに医師、看護師、または歯科医師に相談しましょう。

口内炎は、予防や症状軽減のために、日常生活のなかでできることがたくさんあります。しっかりと治療を続けるためにも、口の中を健康に保ち、体力を維持できるよう、医師や看護師、栄養士などと相談しながら、ご自身の状態にあわせて、できることから始めてみましょう。

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ご家族のかたへ

ご家族のかたへ

監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長/臨床研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。