モデル例で計算してみましょう
医療費控除の計算例
監修:
公認会計士・税理士
渡部 致廣(わたなべ ちこう)先生
医療費控除の計算は次の計算式で行うことができます。また、200万円が限度になります。
「実際に支払った医療費等の合計額」-(1)-(2)
(1)
生命保険などから支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費など
(2)
10万円*1
*1 その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合は、総所得金額等の5%の金額
国税庁:タックスアンサー(よくある税の質問)「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)
[2023年9月閲覧]より作図
モデル例
Aさんは悪性リンパ腫がみつかり、入院・通院を行いました。治療にかかった費用と医療費控除によって還付された額について確認します。
Aさん 年収450万、医療費控除前の所得税+住民税は約30万円
医療費
- 医療費1
1ヵ月の入院にかかる自己負担額
入院治療費 20万円
食事療養費 4万円
差額ベッド代 6万円
高額療養費制度の適応により食事療養費、差額ベッド代以外の 自己負担額は8万4,097円・・・【A】高額療養費制度についての説明はこちら

- 医療費2
3ヵ月の通院にかかる自己負担額
診療・お薬代 10万円
通院費 2万円
自己負担額は12万円・・・【B】
医療費控除額*2
医療費合計
(84,097円【A】+40,000円(食事療養費)+120,000円【B】)−100,000円
=144,097円
*2 医療費控除額=実際の還付額ではありません。
実際の還付額
所得税
医療費控除額×所得税率=実際の還付額
所得税率についての説明はこちら
(国税庁のHPより)
課税所得が100万円とすると所得税率は5%です。
医療費控除額144,097円×所得税率5%=7,205円
したがって、医療費控除の申告により、所得税は7,205円還付されます。
住民税
住民税は所得にかかわらず一律10%の課税率です。
医療費控除額144,097円×住民税率10%=14,410円
還付額の合計
所得税還付額7,205円+住民税の還付額14,410円=21,615円
合わせると21,615円の税金を減らすことができます。
※これらの金額は目安を示すものです。実際の金額と誤差が生じる場合があります。
国税庁:「税について調べる」
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/index.htm)
[2023年9月閲覧]
厚生労働省保険局:「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000333280.pdf)
[2023年9月閲覧]
総務省:「税源移譲後の所得税・個人住民税の税率」
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/pdf/zeigennijou060202_1.pdf)
[2023年9月閲覧]