りんぱしゅ通信

リンパ腫と向き合うすべての人へ 治療のこと、暮らしのこと、これからのこと。

監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長兼臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

家族にできること

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えることと思われます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。

状況を正しく理解する

突然ご家族がリンパ腫と診断されたら、動揺し、何をすべきかわからず悩まれる方がほとんどです。リンパ腫がどのような病気か、これからどのようなことが起こり、何をすべきかの見当がつかないと、とても不安な気持ちになるでしょう。まずは、主治医の先生の話をよく聞いて、ご本人の病状を正しく把握しましょう。リンパ腫にはたくさんの種類があり、治療法も異なります。受けられる治療や治療にかかる期間、費用などを確認しておきましょう。これから起こると考えられることや情報について書き出してみると、不安な気持ちが少しやわらぐかもしれません。

今後の流れを把握する

リンパ腫の治療では、入院や定期的な通院が必要となる場合があります。仕事や家事などの日常生活にも影響を与えることが多いので、今後の治療の流れを把握し、治療にかかる費用やすべきことについて考えておきましょう。治療にかかる費用は、治療法や治療期間、入院するかどうかによって大きく異なります。加入している公的医療保険で受けられる制度や、手続き方法について確認しておきましょう。治療にかかる費用が高額になる場合には、保険診療の範囲であれば、ご本人が月々に負担する額が一定に抑えられる制度があり、これを高額療養費制度といいます。病院や薬局の窓口で支払った額が一定額を超えた場合に、超えた額が後で払い戻されます。ご本人が負担する額の上限は、年齢や所得によってかわります。高額療養費制度については、以下を参考にしてください。

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ

[2023年9月閲覧]

また、直接治療にかかる費用だけでなく、通院のための交通費や入院時の衣類や食事代など、その他の費用がかかることも覚えておきましょう。これらについては、公的な助成の範囲外のため注意が必要です。がん保険などの民間保険に加入している場合には、契約内容を一度確認しておきましょう。

直接治療にかかる費用

検査費、診察費、入院費、手術費、薬代、治療後の定期検査費、診察費など

その他の支出

通院のための交通費、入院時に必要な衣類・日用品代、入院時の食事代、個室などの差額ベット代、診断書・証明書作成代など

サポート体制を整理する

ご本人を支えていくためには、周りのかたと連携してサポートできるようにしておくことが重要です。すべてを一人で抱え込もうとせず、誰にどんなことを頼めるか、相談できる人はいるかなどを整理しておきましょう。また、公的なサポートも積極的に利用することをお勧めします。

先生からのメッセージ 先生からのメッセージ

リンパ腫と診断されたご家族にどのように向き合っていけばよいか、どのように声をかけるべきか、悩まれることが多いはずです。しかし、ご本人は特別なことを望んでいるとは限りません。あまり気を遣いすぎず、自然な態度で接するようにしましょう。そして、できるだけそばにいて話を聞いてあげることが大切です。

診断や治療についての主治医からの説明は、できる限り一緒に聞くようにしてください。説明内容はメモをとっておくと、後で治療法などを決定する際に役立つ場合があります。初めて聞く言葉や難しいことも多いので、事前に少しでも情報を得ておくと理解しやすいかもしれません。また、質問しておきたい内容については、ご本人と事前に話しあって整理しておくとよいでしょう。ご家族のかたも疑問などがあれば遠慮せずに質問してください。ご本人が言えずにいる場合は、代わりに伝えてあげましょう。

公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長兼
臨床研究センター長、
HTLV-1研究センター長
宇都宮 與先生

宇都宮 與先生
自己負担をさらに軽くするしくみ

多数回該当や世帯合算などの条件により自己負担の上限額が軽減される場合についてご紹介します。

先生への質問リスト

質問しておきたいことについて、事前にメモを用意して質問リストをつくって持っていきましょう。

療養生活のサポート

リンパ腫の治療には、入院治療、通院治療があります。
ご本人が安心して治療を受けられるよう、ご家族のかたのサポートが重要です。

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ご家族のかたへ

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公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長兼臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。