FLとは
監修:
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 副院長
永井 宏和(ながい ひろかず)先生
FLは血液細胞であるB細胞(リンパ球)のがんです
濾胞性(ろほうせい)リンパ腫の“濾胞”とは何ですか?
濾胞とは、リンパ節などにある球状の構造のことです。リンパ節の濾胞はリンパ濾胞といわれます。通常のリンパ節では、ウイルスや細菌などの異物が入ってくると、リンパ濾胞の中心部でB細胞が増殖します。このため、風邪をひくとリンパ節が腫れることがあります。
(イメージ図)
笹月健彦 監:エッセンシャル免疫学 第3版, メディカル・サイエンス・インターナショナル, p23, 2016、
飛内賢正 監:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p15, 2015より作成
濾胞性リンパ腫は、リンパ濾胞のB細胞ががん化したものと考えられています。濾胞性リンパ腫では、リンパ節にがん細胞が集まった濾胞状のかたまりがみられます(腫瘍性濾胞(しゅようせいろほう)といいます)。腫瘍性濾胞は、形や細胞のタンパク質が通常のリンパ濾胞とは異なるので、診断の際にはそれらを調べることで見分けられます。
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター
副院長
永井 宏和先生
がん化したB細胞は異常に増殖し
本来の機能を果たさなくなります
B細胞ががん化すると、何が起こるのでしょうか。
B細胞は毎日つくられていますが、その数が一定の範囲内になるように調節されています。しかし、がん化した細胞は異常に増殖するようになり、本来のB細胞の機能を果たさなくなってしまいます。
そのため、がん細胞のかたまりができ、リンパ節などの腫(は)れ(しこり)が生じたり、正常なB細胞が担っている免疫機能に異常が起きたりします。また、がん細胞が放出する物質の影響や増えたがん細胞に臓器が圧迫されることなどにより、全身の症状が起こることがあります。
(イメージ図)
永井正 著:図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫, 法研, p182, 2016
神田善伸 監:ウルトラ図解 血液がん, 法研, p20, p30, 2020