りんぱしゅ通信

リンパ腫と向き合うすべての人へ 治療のこと、暮らしのこと、これからのこと。

は行

廃用症候群

体を動かさないことにより起きる二次的な障害を指します。主な要因としてベッド上での長期間の寝たきりなどがあります。体を動かさないことによって筋肉が衰え、その他にも循環・呼吸器系、内分泌・代謝系、精神神経系など多くの臓器に症状が現れ、日常生活自立度を低下させます。

白血球

血液細胞の一種で、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る免疫に重要な役割をもちます。白血球は、好中球こうちゅうきゅう好酸球こうさんきゅう好塩基球こうえんききゅうリンパ球単球たんきゅうの5種類に分けられます。リンパ腫の治療では、抗がん剤や放射線の影響によって白血球をつくる骨髄のはたらきが抑えられるため、白血球が減少し、感染症にかかりやすくなることがあります。

パフォーマンス・ステータス(PS)

全身状態の指標のひとつで、患者さんの日常生活の制限の程度をあらわします。最もよく使われるECOG(腫瘍学の団体のひとつ)が定めた指標では、0~4の5段階であらわされます。英語ではPerformance Statusといいます。

ECOGのパフォーマンス・ステータス

Score 定義
0 全く問題なく活動できる。
発病前と同じ日常生活が制限なく行える。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。
例:軽い家事、事務作業
2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。
日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3 限られた自分の身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4 全く動けない。 自分の身の回りのことは全くできない。 完全にベッドか椅子で過ごす。

出典
Common Toxicity Criteria, Version2.0 Publish Date April 30, 1999
JCOG ウェブサイト

脾臓ひぞう

お腹の左上に位置するこぶし大の臓器で、肋骨の下に隠れています。脾臓は赤血球血小板を蓄えるとともに、古くなった血球を除去するフィルターのような役割を果たします。リンパ液の循環の中心としても重要な役割を担っています。

非ホジキンリンパ腫

病理学的検査で「リード・シュテルンベルグ細胞」や「ホジキン細胞」という細胞がみられるホジキンリンパ腫以外のリンパ腫の総称で、日本人に多くみられるリンパ腫のタイプです。非ホジキンリンパ腫は、がんになっているリンパ球の種類(B細胞T細胞NK細胞)によってさらに細かい病型に分類されます。ホジキンとは研究者の名前です。

病期びょうき(ステージ)

病気の重症度や進行の程度を段階的に表す基準です。リンパ腫の病期は、I期~Ⅳ期(Ann Arborアン・アーバー分類)であらわされ、数字が大きいほど重症で病気が進行していることを示します。病期は、治療の選択、予後の推測に大きく影響するためとても重要です。

病期分類

がんの重症度や進行の程度を段階的に表す基準で、ステージともよばれます。病期分類は患者さんの生命予後を予測し、治療法を選択するために重要な情報です。通常、病期I~IVで表し、数字が大きいほど、がんが進行していることを示します。リンパ腫の場合、腫れているリンパ節の数と場所(横隔膜より上または下、あるいは両方)、リンパ節以外の臓器への転移があるかどうかで分類されます。→当サイト内「リンパ腫を知る>リンパ腫の種類>リンパ腫の病期(ステージ)」参照

病型びょうけい

リンパ腫に含まれるさまざまなタイプのことです。リンパ腫の病型の分類には、WHO(世界保健機関)の定めた分類が用いられており、その病型の数は30種類以上あります。

病変びょうへん

病気が原因となって起こる組織や器官の変化をいいます。リンパ腫では、首(頸部けいぶ)、脇(腋下えきか)、足の付け根(鼠径そけい)などにあるリンパ節の腫れが多くみられますが、リンパ節以外の臓器(消化管、肺、脳など)にも発生することがあります。

病理学的検査

病変や病変に関連する部位から採取した組織・細胞を顕微鏡で観察し、病型などを詳しく調べる検査です。

病理診断

病理学を専門とする医師が、病変や病変に関連する部位から採取した組織・細胞を顕微鏡で観察し、診断することをいいます。

日和見感染ひよりみかんせん

加齢や病気で免疫力が低下して、健康な人には害のないような弱い細菌や真菌、ウイルスなどに感染し、症状があらわれることです。重度の血液疾患の患者さん、またはがん治療や造血幹細胞移植のために化学療法放射線療法を受けて白血球が減少した患者さんでよくみられます。

貧血

血液中で酸素を運ぶ赤血球ヘモグロビンが減少し、酸素を運ぶ能力が低下した状態です。めまい、疲労感、息切れ、動悸どうきなどの症状が現れます。最も多い原因は鉄分不足ですが、化学療法放射線療法を受けたあとも赤血球が減少し、貧血になることがあります。

フェリチン

鉄と結合できる水溶性のタンパク質で、体内での鉄分の吸収と貯蔵に関与しています。鉄の貯蔵量が足りないと血清フェリチンとして血液中に溶け出すため、鉄欠乏症の検査マーカーとして用いられます。また、がんの広がり具合や勢いを示すマーカーとしても用いられます。

副腎皮質ふくじんひしつステロイド薬(副腎皮質ふくじんひしつホルモン薬)

副腎ふくじんで作られるホルモンと同じ成分を含むお薬です。 →さ行「ステロイド薬」参照

部分寛解ぶぶんかんかい(部分奏効)

治療により、がんの症状が軽減したり、がん細胞がある程度消失する効果が得られた場合をいいます。

プロテアソーム阻害薬

細胞内で不要になったタンパク質を分解する酵素こうそ(プロテアソーム)の働きを妨げることによって、がん細胞の増殖を抑えるお薬です。プロテアソーム阻害薬によって、不要なタンパク質が蓄積したがん細胞では、アポトーシス(プログラム細胞死)が起こります。

分化

ある細胞が複数の異なる性質の細胞に分かれていくことです。たとえば、造血幹細胞の分化により、赤血球白血球血小板などが作られます。

分子標的薬ぶんしひょうてきやく

がん細胞の特徴を分子のレベルで認識し、がん細胞の増殖や転移を行う特定の分子だけを狙い撃ちにするお薬です。従来のがんの治療薬に比べて正常な細胞への影響が少ないため、患者さんの負担がより少なくなっていますが、副作用が全くないわけではありません。

  • 増殖する細胞すべてに作用する
  • がん細胞だけを選んで作用する
(イメージ図)

ヘマトクリット

血液中に占める赤血球の体積の割合を示す数値です。貧血の患者さんでは、ヘモグロビン含有量の少ない小型や薄型の赤血球が作られます。そのため、酸素運搬能力が低下するとともに、ヘマトクリット値が低下します。

ヘモグロビン

赤血球に含まれるタンパク質で、酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を果たします。ヘモグロビンが不足すると、酸素の運搬が十分に行われず貧血になるため、ヘモグロビン濃度は貧血の指標となります。出血や脱水などで見かけのヘモグロビン濃度が変わるので、注意が必要です。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)

胃の粘膜に炎症や潰瘍を引き起こす細菌で、口から口へ、または飲料水などを通じて感染します。ヘリコバクター・ピロリに感染してもほとんどの人は自覚症状がありませんが、感染が長く続くと慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎いしゅくせいいえんが引き起こされ、その一部が胃がんに進行していきます。また、胃の粘膜で発生するリンパ腫にも関連していると考えられています。

ヘルパーT細胞

リンパ球の一種で、体の中に細菌やウイルスなどの異物が入ってきた際に他の免疫細胞に攻撃指令を出す、免疫機能の司令塔として重要な役割を果たします。ヘルパーT細胞には、細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー細胞の攻撃力を高めるものと、Bリンパ球による抗体の生産を活性化するものの2種類があります。

放射線療法

がんの患部に治療用の放射線を当て、DNAに傷をつけることにより、がん細胞を消滅させたり減少させたりする治療法です。放射線は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも作用しますが、リンパ腫の細胞は放射線に反応しやすい性質があるため、種類や進行度によって単独もしくは薬物療法との併用で行われます。

ホジキンリンパ腫

病理学的検査で「リード・シュテルンベルグ細胞」や「ホジキン細胞」という細胞がみられるリンパ腫の総称です。これに対して、日本人に多くみられるタイプの非ホジキンリンパ腫があります。ホジキンとは研究者の名前です。

用語集索引

リンパ腫に関する用語をわかりやすく解説しています。

自己負担をさらに軽くするしくみ

多数回該当や世帯合算などの条件により自己負担の上限額が軽減される場合についてご紹介します。

先生への質問リスト

質問しておきたいことについて、事前にメモを用意して質問リストをつくって持っていきましょう。

療養生活のサポート

リンパ腫の治療には、入院治療、通院治療があります。
ご本人が安心して治療を受けられるよう、ご家族のかたのサポートが重要です。

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ご家族のかたへ

ご家族のかたへ ご家族のかたへ

監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長兼臨床研究センター長、HTLV-1研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。