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りんぱしゅ通信ホーム >  検査・診断・治療:【基本編】リンパ腫の治療

初発時の治療があるように、再発時の治療もある。
あなたが望む治療を、あなたと考えていきたい。

リンパ腫の治療

リンパ腫の治療方針は、リンパ腫の種類や悪性度ステージによって異なります。また、患者さんの年齢やからだの状態、どのような持病を持っているかなど、それぞれの患者さんの状態に合わせて治療法を決定します。患者さんご自身の病気の状態や生活の状況なども含めて、主治医に相談してみましょう。

リンパ腫にはいろいろな治療法があります。患者さんご自身やご家族が納得できる治療法を選択するためにも、どのような治療の選択肢があるか知っておくと安心です。

 

リンパ腫の治療は、化学療法放射線療法が中心です。そのほか、造血幹細胞移植や、再発難治性の一部の症例に対してはCAR T細胞療法が選択されることがあります。基本的に手術は行いませんが、胃や大腸などのリンパ節以外の臓器にリンパ腫がある場合には手術を行うこともあります。

日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年)Web版,2024

化学療法

リンパ腫では、複数の抗がん剤を組み合わせて投与する薬物療法(多剤併用化学療法)が治療の中心になります。抗がん剤にはたくさんの種類があり、いくつかの抗がん剤を組み合わせることで効果を高めたりします。

非ホジキンリンパ腫の治療では、リンパ腫の種類や進行度に応じて、抗体薬物複合体(ADC)や抗体薬、BTK阻害薬の単剤治療や、これらと抗がん剤との併用療法など、さまざまな治療法が選択されます。

ホジキンリンパ腫の患者さんでは、4種類の抗がん剤を組み合わせたABVD療法は外来での治療が可能な場合があります。

日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年)Web版,2024
国立がん研究センター中央病院:「CHOP(チョップ)療法」
(https://www.ncc.go.jp/jp/////ncch/division/pharmacy/010/pamph/DLBCL/010/index.html)
[2025年8月閲覧]

二重特異性抗体

一部のリンパ腫の治療では二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)という抗体薬が選択肢になる場合があります。

二重特異性抗体は2つの抗原(目印)及び分子に結合する抗体薬で、分子標的薬に分類されます。

リンパ腫の治療で使用される二重特異性抗体は、免疫細胞の一種であるT細胞の表面にある分子と、がん細胞の表面にある抗原(目印)に結合する部位を持っています。二重特異性抗体によってT細胞とがん細胞がつながることで、T細胞が活性化され、がん細胞を攻撃します。

岡三喜男 著:読んで見てわかる免疫腫瘍学, 中外医学社, p106,107, 2017
越智 俊元, 安川正貴:実験医学, 羊土社, 37(15); p231, 2019
野村幸太郎, 熊谷尚悟:医学のあゆみ, 医歯薬出版株式会社, 290(6,7), p482-485, 2024

放射線療法

放射線療法は、リンパ腫のある部分を中心にからだの外から放射線(高エネルギーのX線)を当てて、がん細胞を破壊する治療法です。リンパ腫は放射線療法が効きやすいがんといわれています。

放射線療法は、リンパ腫の広がりが狭く、1カ所に集まっている場合に有効です。悪性度にかかわらず、病期の低いI期・Ⅱ期のリンパ腫で、単独もしくは薬物療法との併用で行われます。また、病気を治す目的以外にも、痛みを軽くして苦痛をやわらげるために行われることもあります。

正常な細胞へのダメージを最小限に抑えるため、放射線療法は少量ずつ照射します。そのため、放射線の照射時間は1回1~5分程度ですが、週に3~5回、何週かにわたって継続して行われます。一般的に外来治療が可能です。

飛内賢正 監:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p34-35, 2015
日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年)Web版,2024
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「放射線治療の実際」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/radiotherapy/rt_02.html)
[2025年8月閲覧]

CAR T細胞療法

CAR T細胞療法(キメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法)は患者さんの免疫細胞の一種であるT細胞をとり出し、がんを攻撃する能力を高めるように遺伝子改変して体内に戻す、がん免疫療法のひとつです。

患者さんのT細胞から作られたCAR T細胞は、体内でがん細胞の表面にある抗原を目印としてがん細胞を攻撃します。また、CAR T細胞は体内で分裂して増殖し、がん細胞への攻撃を続けられると考えられます。

通常、CAR T細胞療法では、CAR T細胞の投与は1回のみとなります。

CAR T細胞療法図

日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年)Web版, 2024
日本臨床腫瘍学会 編:がん免疫療法ガイドライン 第3版,2023
再生医療学会:再生医療ポータル
https://saiseiiryo.jp/keywords/detail/car-t.html
[2026年2月閲覧]

造血幹細胞移植

血液のがんでは、血球のもととなる造血幹細胞(→リンパ腫とは)を移植する治療法があります。移植治療の前に大量の抗がん剤や全身への放射線療法を行い(前処置とよびます)、血球のもととなる正常な造血幹細胞を移植して治療する方法です。多くのリンパ腫では、再発した場合に移植を検討します。

造血幹細胞移植には、あらかじめ採取しておいた患者さん本人の造血幹細胞を移植する「自家移植」と、ドナー(提供者)の造血幹細胞を移植する「同種移植」という2種類の方法があります。

 

国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「造血幹細胞移植」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html)
[2026年2月閲覧]
飛内賢正 監修:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p44-45, 2015

自家移植 患者さん本人の造血幹細胞をあらかじめ採取、冷凍保存しておき、前処置後に点滴により患者さんのからだに戻す方法
拒絶反応は起こりにくいが、免疫効果が弱い
・65歳以下が目安
同種移植 HLAと呼ばれる白血球の型が一致する血縁者や骨髄バンクや臍帯血の登録者(ドナー)の造血幹細胞を移植する方法
・拒絶反応が起こりやすい
・自家移植より再発のリスクは低い
・強力な前処置を用いた同種移植は55歳以下が目安

国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「造血幹細胞移植」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html)
[2026年2月閲覧]、
飛内賢正 監修:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p44-45, 2015 より作成

 

移植は患者さんのからだに大きな負担のかかる治療法のため、移植を受けられる患者さんには条件があり、年齢や病気の状態、また患者さんの意向にあわせて実施を検討します。最近では、前処置の強度を弱めて患者さんの負担を軽くした「ミニ移植」ができるようになり、高齢の患者さんでも移植が受けられるようになってきています。

 

国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「造血幹細胞移植」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html)
[2026年2月閲覧]

治療の副作用

薬物療法や放射線療法、CAR T細胞療法などの治療によって、副作用があらわれることがあります。あらわれる副作用は、抗がん剤の種類によっても異なりますし、患者さんごとに症状や強さはさまざまです。

薬物療法によくみられる副作用

  • 嘔吐・吐き気
  • 味覚異常
  • 口内炎
  • 手足のしびれ
  • 便秘
  • 脱毛
  • 骨髄抑制による貧血、出血傾向、感染症にかかりやすくなる

・・・など

二重特異性抗体によくみられる副作用

  • 発熱、血圧低下、低酸素血症(サイトカイン放出症候群)
  • 精神状態の変化、言葉が出ない、けいれん発作、意識の低下、脳浮腫(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群) 

・・・など

放射線療法によくみられる副作用

  • だるさ・吐き気・疲労感
  • 腹部への照射による食欲低下・下痢
  • 照射した部分の皮膚炎・粘膜炎

・・・など

放射線療法では、治療終了後半年以上経ってから起こる副作用もありますので、治療後もしばらくの間は注意が必要です。

CAR T細胞療法によくみられる副作用

  • 発熱、血圧低下、呼吸困難など(サイトカイン放出症候群)
  • 意識障害、めまいやふらつき、時間や日付・自分のいる場所がわからなくなる、けいれんなど(神経系事象)
  • 貧血、出血が止まりにくくなる、青あざや鼻血、感染症にかかりやすくなるなど(血球減少・低ガンマグロブリン血症)
  • 発熱、嘔吐、頭痛、血圧低下、呼吸困難など(インフュージョンリアクション)

・・・など

造血幹細胞移植によくみられる副作用・合併症

移植前処置による副作用

・・・など

同種移植後にみられる合併症

  • 移植片対宿主病(GVHD)とよばれる、ドナーのリンパ球が患者さんの臓器を攻撃することによって起こる合併症

・・・など

国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html)[2026年2月閲覧]
国立がん研究センター中央病院:「CHOP(チョップ)療法」
(https://www.ncc.go.jp/jp/////ncch/division/pharmacy/010/pamph/DLBCL/010/index.html)[2026年2月閲覧]
湯田淳一朗:医学のあゆみ, 医歯薬出版株式会社, 290(6,7), p510, 2024
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「放射線治療の実際」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/radiotherapy/rt_02.html)[2025年8月閲覧]
日本臨床腫瘍学会 編:がん免疫療法ガイドライン 第3版,2023
国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「造血幹細胞移植の副作用・合併症」
(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct03.html)[2026年2月閲覧]