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検査・診断・治療味覚が変わった-味覚障害-

地方独立行政法人 栃木県立がんセンター
血液内科 科長
和泉 透(いずみ とおる)先生

地方独立行政法人 栃木県立がんセンター
看護部 外来化学療法室 がん化学療法看護認定看護師
吉川 直子(よしかわ なおこ)先⽣

地方独立行政法人 栃木県立がんセンター
統括技術部 栄養管理科 副主幹
福田 恵子(ふくだ けいこ)先⽣

味覚障害は、リンパ腫の治療を始めてから2~6週後にあらわれることがあり、約6割の患者さんが経験する副作用の一つですが、治療終了後は徐々に味覚が回復していきます。

毎日の食事が少しでも楽しくなるように、それぞれの症状に合わせた食事メニューの選択や調理の工夫をご紹介しますので、無理をしないように取り入れられるところから少しずつ試してみましょう。

こんな症状があらわれます

  • 味が薄く感じる、
    まったく味がしない
  • 口の中に何もないのに
    苦みや渋み、
    金属味を
    感じる
  • 甘味だけがわからない
  • 甘味を強く感じる
  • しょうゆが苦く感じる
  • 何を食べても嫌な味がする
  • 味が濃く感じる
  • 左右のどちらかが味を感じない
  • 砂を噛んでいるように感じる
  • 舌に膜が張ったように感じる
  • 食べ物の本来の味がしない

※「口の中が乾いた感じがする、ざらざらする」はこちら(口腔乾燥症)を、「食べ物がしみる」はこちら(口内炎)をご覧ください。

味覚の変化は周囲の人が気づきにくい問題ですので、違和感がある場合は悩まずに医師や看護師、栄養士などにに相談しましょう。食事のメニューや味付けなどについて具体的なアドバイスを受けられることがあります。

味覚障害の原因

抗がん剤を使った化学療法や放射線治療によって、味を感じ取る細胞(味蕾みらい)やそれを伝える神経がダメージを受けることが主な原因です。また、味の成分を味蕾に運ぶ唾液の分泌量が低下し、口が乾燥することにより、味の感じ方が変わることもあります。

その他、使用している薬剤によっては、亜鉛の吸収が妨げられ、亜鉛不足が原因になることもあります。

味覚障害のケアのポイント

味を感じやすくさせたり、味覚障害を悪化させないためのケアのポイントをご紹介します。

ポイント① メニューや味付けの工夫

それぞれの症状に合わせて味付けや食材をほんの少し工夫することで、味を感じやすくなる場合があります。
また、味付けだけでなく、食べることができたという満足感を感じることも大切です。
高血圧、糖尿病、腎臓病など他の病気を患っていて、塩分や糖分の制限を指導されている患者さんの場合、調味料の使用量を大きく変更する前に、医師とよく相談してください。
味が薄く感じる
まったく味がしない
  • 味を濃くしてみる
塩やしょうゆを
苦く感じる
金属のような味がする
  • 塩やしょうゆの使用量を減らす
  • だしや酢を利かせる
  • レモンなどのかんきつ類、ゴマや柚子などの風味を足す
全体的に食べ物を苦く感じる
  • 甘みを強くする
  • マヨネーズを利用することで苦味がマスキングされることがある
  • キャラメルなどで口直しをする
何でも甘く感じる
  • 砂糖やみりんの使用量を減らす
  • 塩味、しょうゆ味、みそ味などの濃い味付けにする
  • 酢の物、ゆずやレモンなどの酸味やスパイスを利用する
砂を噛んでいるような感じがする
  • 口当たりの悪い食材を控える
  • とろみをつけるなどして口当たりを滑らかにする
  • 汁物を添えて流し込みやすくする
水でもしょっぱく感じる
  • 調味料を加えず、だしまたは水だけで煮たりする

がん治療を専門とするメディカルスタッフからのアドバイス

かんきつ類のような酸味のあるものは、塩味が増したように感じさせます。また、だしを濃く取ったり、洋食では乳製品(バターなど)、和食では酒やみりんを使うことでコク味が増し、調味料の量を抑えることができます。
また、同じ食べ物でも温度によって味の感じ方は変わります。熱すぎても冷たすぎても味は感じにくくなるので、人肌程度の温度にしてみるのもよいでしょう。

ポイント② 香りや雰囲気も大切にする

料理は味だけではなく、シソやショウガ、すだちやレモンなどで香りを引き立てるとおいしく感じることがあります。また、雰囲気を変えると食欲が増すことがあるので、外食をしたり、ご家族や友人とともに食事をする機会を作ってみましょう。

ポイント③ 口のケアをする

・保湿する
唾液には口の中に味を広げる働きがあり、口の中が乾燥することで味を感じにくくなることがあります。リンパ腫の治療では、使用する薬や放射線の影響によって唾液の量が減ってしまうことがありますので、口の中が乾いているように感じる場合は、うがいやマスクなどで保湿し、唾液の働きを補いましょう。スプレータイプやジェルタイプの保湿剤が市販されていますので、それらを活用してみるのもよいでしょう。

・清潔にする
口の中の衛生状態が悪くなると、増殖した細菌や老廃物などによって味を感じにくくなったり、むし歯や感染症などにかかることがあります。また、舌苔ぜつたい(舌表面の白い苔状のもの)が多く付着していると、味を感じにくくなります。歯だけでなく、舌のブラッシングを欠かさず行い、清潔な状態を保つよう心がけましょう。

ポイント④ 亜鉛を補給する

亜鉛は細胞が分裂するために必要な栄養素です。亜鉛が不足すると味を感じ取る細胞の再生が進まなくなるため、結果的に味覚障害を引き起こします。亜鉛の不足は検査で診断することができ、必要に応じて亜鉛製剤が処方されることがあります。そのほかにも、亜鉛を多く含む食材(カキやうなぎ、ゴマ、ヒジキなどの海藻類、肉類など)やサプリメントを使ってご自身で補給することもできますが、サプリメントを利用する場合には、他のお薬との飲み合わせなどの問題もありますので、事前に医師、看護師、薬剤師へ相談するようにしましょう。

歯科検診

口腔内には多くの細菌がいます。リンパ腫の治療によって免疫力の低下が起こると、細菌が原因となる合併症があらわれることがあります。そのため、リンパ腫の治療開始前に歯科を受診し、むし歯などの処置を受けておきましょう。また、リンパ腫の治療中も定期的に歯科検診を受けて口腔内の衛生環境を良好に保つようにしましょう。

ちょっとした工夫で食事をおいしく楽しむことができるよう、いくつかの方法を紹介しました。たくさん食べようとせず、少しずつ盛り付けるのも工夫の一つです。ここで紹介した方法以外にも、それぞれの患者さんに合ったさまざまな対処法が考えられますので、栄養相談の機会を利用するのもよいでしょう。

対応に困った時は、遠慮せずに医師や看護師、栄養士に相談しましょう。

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ご家族のかたへ

ご家族のかたへ

監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長/臨床研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。