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検査・診断・治療口が乾く-口腔乾燥症-

JCHO九州病院
内科 医長
小川 亮介(おがわ りょうすけ)先生

リンパ腫の治療中には唾液が減少することで口の中が乾いてしまい、食感や味覚、口の中の環境に影響を与えることがあります。口腔乾燥症は、食事の楽しみを減少させ、食欲不振になることも多く、患者さんが最もつらいと感じる副作用の一つです。これらの症状を少しでも軽減できるよう、保湿や衛生面を意識したケアを紹介しますので、できるところから試してみましょう。

こんな症状があらわれます

  • 食べ物が飲み込みにくい
  • 口の中がザラザラ、ピリピリするような感覚がある
  • しゃべりにくい
  • 味を感じにくい(味覚障害
  • むし歯になりやすくなる
  • 入れ歯(義歯)が合わない

※「食べ物がしみる」はこちら(口内炎)をご覧ください。

唾液が減ると食事がしづらくなったり、味覚が弱くなることがあります。また、口の中の衛生環境が悪くなることがあります。リンパ腫の治療中は免疫力が低下してしまうため、むし歯や感染症を予防するためにも口腔ケアが大切です。

口腔乾燥症の原因

抗がん剤を使った化学療法や放射線治療によって、唾液を分泌する細胞がダメージを受け、唾液の量が減ることによって口の中(口腔こうくう)が乾いた状態になります。

口腔乾燥ケアのポイント

減少した唾液の働きを補うことを目的としたケアのポイントをご紹介します。

ポイント① 清潔に保つ

うがいや歯みがきによって口腔内を衛生的に保つことで、炎症や感染症を防ぐことができます。

・うがいをする
うがいはとても手軽に行える口腔内の洗浄手段で、保湿の効果もあるため大切です。
うがいの回数は、1日に8回程度(起床時、朝・昼・夕食の前後、就寝時)が目安です。基本的に水道水で問題ありませんが、刺激がある場合は生理食塩水を使用するのもいいでしょう。市販されている洗口液のなかには殺菌効果が得られるものもありますが、アルコールを含まず、刺激性の低いものを選びましょう。レモン水やレモン風味の炭酸水は唾液の分泌を促すため、特に食前におすすめです。
のどを洗うようなうがいではなく、口の中だけを洗浄するようなうがいにしましょう。

・歯みがき
歯みがきでは口腔内の粘膜を傷つけないことが重要です。

  • ブラシ部分が小さく、やわらかめの歯ブラシをおすすめします。ただし、かたい歯ブラシよりも歯垢しこうをとる効果が弱いので、時間をかけて丁寧にみがくことを意識しましょう。
  • 歯みがきは、力を入れず、歯と歯肉しにくの境目に45°の角度で毛先を当てます。そして、歯ブラシの毛先が歯と歯肉の境目から離れないようにしながら、小刻みに前後に動かします。
    歯や歯肉の状態に合わせて、フロスや歯間しかんブラシ、スポンジブラシなどを利用してみるのもよいでしょう。舌には専用の舌ブラシが便利です。

  • 歯みがき剤は刺激の少ないものを選び、しみる場合は水だけでみがいてもよいでしょう。

がん治療を専門とするメディカルスタッフからのアドバイス

口腔ケアは毎日継続することが大事ですが、治療中は体調がすぐれないときが少なくなく、毎食後に歯みがきができない場合もあります。そのようなときは、無理をせずにできるときに行いましょう。また、こまめに口をすすぐだけでも効果的です。

・入れ歯(義歯)の洗浄

入れ歯は細菌や真菌が増殖しやすいので、こまめに洗浄し、常に清潔にしておきましょう。
また、保管容器の洗浄も忘れずに行いましょう。
入れ歯の裏側(接着面)や金属部分は汚れがたまりやすいので、専用のブラシ(義歯ブラシ)などを使ってこすり洗いをします。洗浄剤を使った場合は、きちんと水で洗い流し、十分に乾燥させます。

ポイント② 保湿をする

保湿をすることで不足している唾液の働きを補い、症状を和らげることができます。

・保湿剤を使用する

口腔ケア用の保湿剤は、スプレータイプ、ジェルタイプ、洗口タイプなどがあり、乾燥の程度や使用する場面に応じて使い分けることができます。
一般の薬局でも市販されていますが、あまり刺激の強いものは避けるようにしましょう。

<保湿剤の特徴と形状>

スプレータイプ 直接吹きかけることができるため、衛生的で簡便です。
即効性のある清涼感が得られますが、保湿効果は長くありません。
ジェルタイプ 口腔粘膜をおおうような効果があり、長い保湿維持が期待できます。
ただし、粘つきを感じるような症状にはあまり向いていません。
洗口タイプ 保湿と同時に口腔内を洗浄する効果が得られます。
アルコールを含まないもの、刺激性の低いものを選びましょう。

ポイント③ 定期的な歯科検診

口腔内には多くの細菌がいます。リンパ腫の治療によって免疫力の低下が起こると、細菌を原因とする合併症があらわれることがあります。そのため、リンパ腫治療の開始前に歯科を受診し、むし歯などに対する処置を受けておきましょう。また、リンパ腫の治療中も定期的に歯科検診を受けるなどして、口腔内の衛生環境を良好に保つようにしましょう。

唾液のはなし

唾液は、口の中の乾燥を防いだり、粘膜を覆って保護するだけではなく、味を感じる細胞(味蕾みらい)に味覚をとどける働きをしています。また、唾液には抗菌作用があるので、口内炎の悪化を防ぐためには十分な量が出ていることも必要です。唾液の量が少ないという場合は、唾液が出やすくなるように、「口を閉じて舌で左右のほおを押す」「口を開けて舌を突き出して上下左右に数回動かす」など、舌を動かす体操をしてみるのもよいでしょう。

唾液の減少は味覚障害や感染症の原因となりますが、保湿や衛生面のケアを習慣づけることによってそれらを予防することができます。毎日の食事や会話を少しでも楽しむことができるように、医師や看護師に相談しながら無理なく継続できる口腔ケアを試してみましょう。

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ご家族のかたへ

ご家族のかたへ

監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長/臨床研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。