治療初期の発熱 -サイトカイン放出症候群(CRS)-
川崎医科大学
血液内科学 主任教授
北脇 年雄(きたわき としお)先生
一部のリンパ腫治療(CAR-T療法や二重特異性抗体療法)では、治療初期に発熱やインフルエンザのような症状が高い頻度で現れます。これは体内からサイトカインと呼ばれる物質が放出されることで生じるため、「サイトカイン放出症候群」(CRS)と呼ばれています。
重症の場合には、血圧が下がる、脈がはやくなる、息苦しさなどの症状がみられ、神経毒性(ICANS)を合併することもあります。気になる症状を自覚したら、速やかに医師や看護師、薬剤師に伝えるようにしましょう。
こんな症状があらわれます
初期症状(治療してから早期に出やすい症状)
38℃をこえる発熱
呼吸がはやくなる
頭痛
気持ちが悪くなる・寒気がする
筋肉痛 など
重症の場合
血圧が下がる
脈がはやくなる
息苦しさ など
サイトカイン放出症候群の原因
治療によって放出されたさまざまなサイトカインにより発熱やその他の症状がみられます。サイトカインはかぜをひいたときにも出ることが知られています。
サイトカイン放出症候群のケア
まずは医療者に伝えましょう
なにか気になる症状がみられた場合は医師や看護師、薬剤師に伝えましょう。
患者さんが自分で症状に気づいて医療者に伝えることが難しい場合もあります。ご家族にも症状を共有しておくことも大切です。
症状に応じて治療を行います
CRSによる発熱に対しては解熱剤を投与します。改善がみられない場合は、抗IL-6受容体拮抗薬やステロイド全身投与など、症状に応じて治療法が検討されます。
日本臨床腫瘍学会 編:がん免疫療法ガイドライン 第3版,金原出版,p96-97,2023
日本造血・免疫細胞療法学会:CAR-T治療後の合併症
https://www.jstct.or.jp/modules/cart_t/index.php?content_id=43
[2025年12月閲覧]