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検査・診断・治療ATLLの検査・診断

監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院 名誉院長/臨床研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

ATLLはリンパ節や皮膚の症状などから疑われます

ATLLは多くの場合、リンパ節の腫れや皮膚症状、だるさや発熱といった症状や血液検査の異常などをきっかけとして疑われます。その場合は詳しい検査を行い、ATLLなのか、ATLLであればどのタイプか、病気の進行度はどのくらいで体のどこまで広がっているかを調べます。

通常、以下の2点がわかるとATLLと診断されます。

  • ①HTLV-1に感染していること(HTLV-1に対する抗体の検査で陽性)
  • ②血液中で増えている異常な細胞がT細胞であること(血液検査)、またはリンパ節・皮膚の病変がT細胞のがんであること(リンパ節生検せいけん、皮膚生検)

確定診断するためには、さらに遺伝子検査を行って診断する場合もあります。

病気の状態を調べるさまざまな検査を行います

診断時や治療効果の判定時、経過をみる際には、確認する内容に応じて、以下の検査が行われます。

主な項目 確認する内容
血液検査
白血球の数白血球がどのくらい増えているかを調べます。
リンパ球の数白血球のうちのリンパ球がどのくらい増えているかを調べます。
抗HTLV-1抗体検査陽性ならHTLV-1に感染しています。
異常な細胞の形や数(割合)顕微鏡で血液細胞の形を見て、異常な細胞がATLL細胞(がん細胞)なのかどうか、また、異常な細胞がどのくらいの割合かを調べます。
肝機能検査肝臓や腎臓の機能が低下していないかどうか調べます。
腎機能検査
カルシウム値病気の活動性を調べます。ATLLでは血液中のカルシウムが増える高カルシウム血症になることがあり、その場合は高カルシウム血症の治療を行います。
LDH値病気の進行度を調べます。がん細胞の量が多いとLDH値が高くなります。LDH値の異常により、治療方針が変わる場合があります。
アルブミン値アルブミン値の異常により、治療方針が変わる場合があります。
HTLV-1遺伝子検査ATLLの確定診断には、採取した血液を用いて、がん細胞にHTLV-1の遺伝子が入っているかどうかを調べます。
BUN値BUN値の異常により、治療方針が変わる場合があります。
リンパ節生検・皮膚生検

麻酔をして、腫れているリンパ節や病変のある皮膚の一部を採取する手術を行います。採取した組織を顕微鏡で見て、T細胞のがんなのかどうか、またATLL細胞(がん細胞)があるかどうかを調べます。

HTLV-1遺伝子検査ATLLの確定診断には、採取した組織を用いて、がん細胞にHTLV-1の遺伝子が入っているかどうかを調べます。
骨髄検査
麻酔をして腸骨ちょうこつ(腰の骨)や胸骨(胸の中央にある骨)に針を刺し、骨の中の骨髄液を採取します。骨髄にがん細胞が広がっていないかどうかを調べます。
髄液検査(腰椎穿刺ようついせんし
麻酔をして、腰のあたりの脊椎せきつい(背骨)の間に針を刺し、脳脊髄液(髄液)を採取します。脳や脊髄(中枢神経)にがん細胞が広がっていないかどうかを調べます。
画像検査(CT、PET、MRI、内視鏡など)
がん細胞が全身のどこまで広がっているかを調べます。

早急に治療を行う場合と様子をみる場合があります

ATLLのタイプ(病型びょうけい

ATLLは、がん細胞の増えかたの程度や検査値の異常などによって、「急性型」、「リンパ腫型」、「慢性型」、「くすぶり型」の4つのタイプ(病型)に分類されます。病型によって経過や治療方針が異なるため、自分の病型を知っておくことが大切です。4つの病型のうち、急性型が最も多いことが知られています。

早急に治療を行う場合(アグレッシブATLL)

「急性型」、「リンパ腫型」、「予後不良因子よごふりょういんしのある慢性型」は、病気の進行が速く、早急な治療が必要です。これらの病型をまとめてアグレッシブATLLといいます。

予後不良因子とは、患者さんがある特徴をもっている場合に、経過が比較的よくないと予想される特徴のことです。ATLLの病型分類では、3つの検査値(LDH、アルブミン、BUN)のいずれかひとつ以上に異常がある場合、「予後不良因子あり」とみなします。

急性型
  • 病気の進行は速い
  • 主に血液中でがん細胞が増えている
  • さまざまな症状がみられ、感染症にかかりやすい。高カルシウム血症がみられることも多い
  • 血液検査で白血球が増えていて、がん細胞が多数みられる
リンパ腫型
  • 病気の進行は速い
  • 主にリンパ節でがん細胞が急速に増えているため、リンパ節の腫れがある
  • 血液検査では白血球は増えておらず、異常なリンパ球もほとんどない

早急な治療

様子をみる場合(インドレントATLL)

「予後不良因子のない慢性型」や「くすぶり型」は、病気の進行が比較的ゆっくりで、これらをまとめてインドレントATLLといいます。インドレントとは、「緩徐に進む」といった意味の言葉です。インドレントATLLでは、当面はATLLそのものに対する治療は行わず、注意深く病気の状態を観察します(経過観察けいかかんさつ)。ただし、皮膚症状がみられる場合は、その治療を行います。

診断時に慢性型やくすぶり型だった患者さんでも、その後、急性型に変わることもあるため(急性転化きゅうせいてんかといいます)、定期的な経過観察が非常に重要です。

慢性型
  • 病気の進行は比較的遅い
  • 皮膚病変がある場合も多い
  • 血液検査で白血球が増えていて、異常なリンパ球がみられる
  • 予後不良因子がある場合はアグレッシブATLLに分類される
くすぶり型
  • 病気の進行は比較的遅い
  • 症状はほとんどみられない
  • 血液検査で白血球は増えていないが、異常なリンパ球がみられる
  • 皮膚病変のみがみられる場合もある

経過観察(皮膚症状があればその治療)

HTLV-1ウイルスに関するウェブサイトはこちらをご覧ください。

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ご家族のかたへ

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監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長/臨床研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。