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検査・診断・治療FLの治療(抗がん剤・放射線)

監修:
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター長
永井 宏和(ながい ひろかず)先生

FLでは放射線治療や抗がん剤治療を行います

初めてFLと診断された場合は(初発)、そのときの病気の状態を限局期と進行期に分けて治療を進めます。

※抗CD20抗体についてはこちらをご覧ください

限局期の場合

限局期では、放射線治療で治癒が期待できる場合もあり、放射線治療が勧められています。ただし、放射線治療ができない場合(首やお腹などの病変で治療効果よりも副作用が心配される場合など)は、進行期と同様の治療も考慮されます。

進行期の場合

進行期では、がん細胞の量(腫瘍量)や症状などにより、治療方針が異なります。

リンパ腫による症状がないなど腫瘍量が少ない(低腫瘍量)と考えられる場合は経過観察とし、病気の進行度を慎重にみながら治療開始を考慮することがあります。

一方、リンパ腫による症状があるなど腫瘍量が多い(高腫瘍量)と判断された場合や進行速度が比較的速い場合、全身症状や合併症がある場合は治療を開始します。一般的には、抗CD20抗体と化学療法を組み合わせた併用療法が行われます。治療効果がえられた場合は、さらにがん細胞を減らして再発のリスクを減らすため、抗CD20抗体を継続的に投与することがあります維持療法いじりょうほう

先生からのメッセージ

進行期のFLでも治療を行わなくてよいのでしょうか?

FLでは進行期でもすぐに治療を開始しない場合があります。これは、過去の研究で、全身症状がなく大きな病変がない患者さんでは、治療を行わず経過観察を行っても早期に治療を開始した場合と比べて予後が悪くなかったという報告があるためで、一般的に治療選択肢のひとつと考えられています。

ただし、いつ治療を開始するかは重要です。治療開始の判断には統一された決まりはありませんが、いくつかの規準があり、それらを参考にして患者さん一人ひとりの状態をみながら考慮します。代表的な規準であるGELF規準では、以下のいずれかに該当する場合は高腫瘍量とみなし、治療開始の目安とされます。
腫瘍の最大の長径が7cm以上
長径3cmを超えるリンパ節が3つ以上
全身症状(B症状)がある
CT検査で16cm 以上の脾臓の腫れがみられる
胸水または腹水あり
臓器の圧迫症状あり
血液中のリンパ腫細胞数が5,000/mm3より多い
骨髄の機能障害(ヘモグロビンや血球の減少)あり
LDH、β2ミクログロブリン値が高い
 リンパ腫なのに治療を開始しないと、不安に思う患者さんもいるかもしれません。納得して病気と向き合っていけるよう、主治医とよく相談して治療方針を決め、定期的な通院と経過観察をしっかり行いましょう。

独立行政法人国立病院機構
名古屋医療センター
臨床研究センター長
永井 宏和先生

治療後に再発した場合

再発とは、治療によりがんがほぼ消えたり小さくなったりした後に、再び活動性が生じることです。再発の場合も初発と同様に、限局期と進行期に分けて治療を進めます。治療にはさまざまな選択肢がありますが、どの治療法を最初に選択すると効果が高いかは明確ではなく、患者さんの状態に合わせて治療を検討します。

造血幹細胞移植は初発ではほとんど行われませんが、再発の進行期では治療の選択肢のひとつであり、主に抗がん剤治療の後に行われます。

また、新しい薬の開発をはじめ、今後の治療の改善に向けたさまざまな検討がなされています。臨床試験に参加するのも選択肢のひとつです。

①放射線治療・放射免疫療法

放射線治療は、身体の外からがんがある部位に放射線をあて、DNAを傷つけることによりがん細胞を破壊する治療法です。がんの広がりが限定されている場合に効果的です。

初発の限局期FLに対しては、放射線治療を局所的に行うことが推奨され、治癒が得られることもあります。放射線治療は再発時も選択肢のひとつになっており、病変が限局的な場合に選択されます。

放射線照射の頻度や回数は病気の状態によって異なりますが、外来で治療可能な場合が多く、1ヶ月程度の通院となります。副作用としては、疲労感や皮膚の症状などがあらわれる場合があります。

放射免疫療法ほうしゃめんえきりょうほう

再発時には限局期/進行期に関わらず、放射免疫療法が行われることがあります。リンパ腫細胞の表面にあるタンパク質を識別して結合する抗体に、放射線を放出する元素(放射性同位元素ほうしゃせいどういげんそ)を結合した薬剤を注射します。これにより、リンパ腫細胞に効果的に放射線をあてることができます。

②FLでよく行われる抗がん剤治療

FLは抗CD20抗体の登場により予後が改善しています。抗CD20抗体とは、がん細胞がもつ特定のタンパク質に結合する薬です。抗CD20抗体は現在のFL治療で標準的に用いられ、単剤あるいは化学療法との併用で投与します。

抗CD20抗体単剤療法

進行期FLで低腫瘍量かつ無症状の場合、抗CD20抗体の単剤療法を選択することがあります。1週間に1回、点滴投与を行い、最大8回までくり返します。外来(通院)での治療が可能です。

抗CD20抗体併用化学療法

進行期FLの患者さんで高腫瘍量だったり全身症状がある場合は、抗CD20抗体と化学療法を組み合わせた治療法によって高い効果を期待します。

組み合わせる化学療法は決まっておらず、治療の強さや副作用などを考慮して決定します。抗CD20抗体のほか、アルキル化剤ステロイド薬などの4 種類の抗がん剤を組み合わせたR-CHOPアールチョップ療法や、BR療法が用いられます。

抗がん剤治療はがん細胞を減らすために実施しますが、正常な血液細胞も一時的に減少します。このような副作用を骨髄抑制こつずいよくせいといいます。骨髄抑制が生じると、白血球の減少で感染症にかかりやすくなったり、血小板の減少で出血しやすくなります。

副作用が発現するかどうか、またその強さやあらわれる時期は、患者さんによって異なります。抗がん剤治療を行う際には、副作用に対する予防や治療を並行して行います。

FLに関するウェブサイトはこちらをご覧ください。

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ご家族のかたへ

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監修:
公益財団法人慈愛会 今村総合病院
名誉院長/臨床研究センター長
宇都宮 與(うつのみや あたえ)先生

大切な人がリンパ腫と診断されたら、ご本人だけでなく、ご家族のかたにも大きな影響を与えます。悲しみや不安を抱えるなか、さまざまな決断をしたり、初めて経験する多くの変化に対処していかなければなりません。今後の療養生活や、ご本人を支えていくうえで重要なポイントを知っておきましょう。