Skip to main content

りんぱしゅ通信ホーム >  検査・診断・治療:【疾患編】MCLの治療

初発時の治療があるように、再発時の治療もある。
あなたが望む治療を、あなたと考えていきたい。

MCLの治療

監修:
国立がん研究センター 中央病院 病棟医長

棟方 理(むなかた わたる)先生

マントル細胞リンパ腫の治療方法には、抗がん剤などを用いる「薬物療法」、病変部位に放射線をあてる「放射線療法」や「造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)」があります1)。また、再発・難治性の一部症例に対しては、CAR T細胞療法(かーてぃーさいぼうりょうほう)が選択できることがあります。

マントル細胞リンパ腫の治療では、病期(びょうき)(ステージ)や病気の進行の速さにもとづき、どの治療方法を選び、どのように治療を進めていくかを検討します。また、患者さんの年齢やからだの状態、ほかにどのような病気を持っているかなど、それぞれの患者さんの状態にあわせて治療方法を決定します1)

初めてマントル細胞リンパ腫と診断された初発(しょはつ)の場合は、そのときの病気の状態を「限局期」と「進行期」に分けて治療を進めます。マントル細胞リンパ腫に対して最初に行う治療を初回治療といいます1)

初回治療によって症状が改善した後、再び悪化することがあります。これを「再発再燃(さいねん)」といいます。マントル細胞リンパ腫では、再発や再燃を繰り返すことがあります2)。再発・再燃した場合、もしくは初回治療で十分な効果が得られなかった場合には、使用する薬剤や治療方法を変えることなどを検討します1)

1)日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)
「第Ⅱ章リンパ腫 Ⅱリンパ腫 4 マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)」
2)Silkenstedt E, et al.: Hematol Oncol 41(Suppl 1), p36-42, 2023

MCLの治療

限局期マントル細胞リンパ腫には、放射線療法や
抗がん剤を用いる薬物療法(化学療法)を行います

初発のマントル細胞リンパ腫で病期がⅠ期、Ⅱ期(10cm以上の大きな病変なし)の限局期には、初回治療として放射線療法のみ、または放射線療法と抗がん剤を用いる薬物療法(化学療法といいます)を組み合わせた治療を行うことが推奨されています。選択される治療は、病気の悪性度、病変部位や患者さんの年齢なども考慮して検討されます。

初回治療により効果が得られた後に再発再燃(さいねん)した場合、もしくは十分な効果が得られなかった場合、初回治療とは異なる治療が行われます。
初回治療が放射線療法のみだった患者さんでは化学療法を開始します。この最初に行う化学療法を一次化学療法といいます。
初回治療が放射線療法+化学療法だった患者さんでは、化学療法の種類を変更します。2回目に行う化学療法を二次化学療法といいます。また、放射線療法のみへ変更し病気の状態を観察する場合もあります。

MCLの治療フロー

日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)
「第Ⅱ章リンパ腫 Ⅱリンパ腫 4 マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)」
飛内賢正 監:血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫, 講談社, p34, 2015

進行期マントル細胞リンパ腫には多剤併用薬物療法を行い、

造血幹細胞移植の実施を考慮することもあります

初めてマントル細胞リンパ腫と診断された初発で病期がⅡ期(10cm以上の大きな病変あり)、Ⅲ期、 Ⅳ期の進行期には、初回治療として抗がん剤を用いる薬物療法(化学療法といいます)と、新しいタイプのがん治療薬である分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)を組み合わせた多剤併用薬物療法を行うことが一般的です。ただし、マントル細胞リンパ腫の進行期で病気の進行の速さが非常にゆっくりの場合には、治療を行わずに経過を観察し、その後悪化したときに薬物療法を開始することがあります。また、臨床試験(新たに開発された治療薬の有効性・安全性について調べる試験)に参加するという選択肢もあります1)

進行期マントル細胞リンパ腫に対して最初に行う薬物療法を「一次化学療法」といいます。65歳以下で自家造血幹細胞移植と大量化学療法の併用が実施できる患者さんでは、化学療法でがん細胞を減らした後に移植を行います。また、66歳以上の患者さん、65歳以下で強力な化学療法が実施できない患者さんには、抗がん剤と分子標的薬を組み合わせた薬物療法を実施します1)

一次化学療法で効果が得られた後に再発再燃(さいねん)した場合、もしくは十分な効果が得られなかった場合には、次の薬物療法(「二次化学療法」といいます)に進みます。また、臨床試験に参加するという選択肢もあるほか1)、患者さんのT細胞をとり出し、がんを攻撃する能力を高めるように遺伝子改変して体内に戻すCAR T細胞療法(かーてぃーさいぼうりょうほう)や、60歳以下の患者さんでは同種造血幹細胞移植(どうしゅぞうけつかんさいぼういしょく)1)も治療選択肢の一つとなります。

進行期MCLの治療フロー

1)日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)
「第Ⅱ章リンパ腫 Ⅱリンパ腫 4 マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)」

先生、教えてください!
Q

マントル細胞リンパ腫の治療によっていったん消えた病変が再びあらわれた場合に行える治療はありますか?

A

マントル細胞リンパ腫が再発した場合には、前の治療と異なる薬剤の使用や治療方法を検討します。最近では、新しい治療薬や治療方法の研究・開発が進み、 マントル細胞リンパ腫が再発した場合の治療選択肢が増えています。

マントル細胞リンパ腫は一般的に初回治療に反応しやすく、完全、あるいはほぼ完全にがんの症状が軽減・消失したり、がん細胞が減少・消失したりする効果が得られた状態(完全奏効(かんぜんそうこう))を得られる可能性が高いとされています。しかし、再発することも珍しくはなく、多くの患者さんはマントル細胞リンパ腫の再発と寛解を繰り返します。

最近では、再発したマントル細胞リンパ腫の治療方法について研究が進み、新たな治療選択肢が登場しています。例えば、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬などの分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)や、CAR T細胞療法(かーてぃーさいぼうりょうほう)という患者さん自身の免疫細胞を用いる先進的な治療が選択肢の一つになっています。

治療の進歩により、マントル細胞リンパ腫が再発しても希望が持てる時代を迎えています。どの治療が合うかは、患者さんの年齢やからだの状態、これまでどのような治療を行ったかによって変わってきます。主治医とよく相談し、治療の進め方を決めましょう。

Silkenstedt E, et al.: Hematol Oncol 41(Suppl 1), p36-42, 2023

国立がん研究センター 中央病院 病棟医長
棟方 理(むなかた わたる)先生